Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

涙管の関が切れて滂沱の観を添うるがためでもない。いたずらに劇烈なるは、壮士が事もなきに剣を舞わして床を斬るようなものである。浅いから動くのである。本郷座の芝居である。甲野さんの笑ったのは舞台で笑ったのではない。

毛筋ほどな細い管を通して、捕えがたい情けの波が、心の底から辛うじて流れ出して、ちらりと浮世の日に影を宿したのである。往来に転がっている表情とは違う。首を出して、浮世だなと気がつけばすぐ奥の院へ引き返す。引き返す前に、捕まえた人が勝ちである。捕まえ損なえば生涯甲野さんを知る事は出来ぬ。

甲野さんの笑は薄く、柔らかに、むしろ冷やかである。そのおとなしいうちに、その速かなるうちに、その消えて行くうちに、甲野さんの一生は明かに描き出されている。この瞬間の意義を、そうかと合点するものは甲野君の知己である。斬った張ったの境に甲野さんを置いて、ははあ、こんな人かと合点するようでは親子といえどもいまだしである。兄弟といえども他人である。斬った張ったの境に甲野さんを置いて、始めて甲野さんの性格を描き出すのは野暮な小説である。二十世紀に斬った張ったがむやみに出て来るものではない。