Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
藤尾は少しく眉を寄せる。
「大変御急ぎだ事」
「なに、面白く伺ってるのよ。それからその五重の塔がどうかするの」
五重の塔がどうもする訳はない。刺身を眺めただけで台所へ下げる人もある。五重の塔をどうかしたがる連中は、刺身を食わなければ我慢の出来ぬように教育された実用主義の人間である。
「それじゃ五重の塔はやめましょう」
「面白いんですよ。五重の塔が面白いのよ。ねえ小野さん」
御機嫌に逆った時は、必ず人をもって詫を入れるのが世間である。女王の逆鱗は鍋、釜、味噌漉の御供物では直せない。役にも立たぬ五重の塔を霞のうちに腫物のように安置しなければならぬ。
「五重の塔はそれっきりよ。五重の塔がどうするものですかね」
藤尾の眉はぴくりと動いた。糸子は泣きたくなる。
「御気に障ったの――私が悪るかったわ。本当に五重の塔は面白いのよ。御世辞じゃない事よ」
針鼠は撫でれば撫でるほど針を立てる。小野さんは、破裂せぬ前にどうかしなければならぬ。
五重の塔を持ち出せばなお怒られる。琴の音は自分に取って禁物である。小野さんはどうして調停したら好かろうかと考えた。話が京都を離れれば自分には好都合だが、むやみに縁のない離し方をすると、糸子さん同様に軽蔑を招く。