Classici giapponesi con furigana
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くも
蜘蛛
甲賀 三郎
Leggi 蜘蛛 (くも) di 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.314 caratteri · 22 schermate
そうして、私はやはりそこに博士の秘密を見出したのだった。
* * *
×月×日
Sを殺そうと決心してから三ヵ月になる。このごろになってようやく一つのプランを思いついた。Sを殺さなければならない理由は、まったく主観的のもので、おれは良心を安んじさせるためにジャスチファイする必要はないと思う。おれは世間をあざむけばよいのだ。良心をあざむく必要はすこしもない。
おれはSを殺そうという考えが、すこしでもにぶりかけたら、彼がおれに加えたかずかぎりなき有形無形の侮辱を思いだせばよいのだ。Sは二人だけの場合であると、公開の席であるとにかかわらず、諧謔の仮面のもとに、おれをあざけり、おれを軽蔑し、おれを圧迫し、おれをののしりつづけた。このことは彼自身が意識していると意識していないとにかかわらず、おれには忍ぶべからざる侮辱である。しかし、おれのいじけた性質と訥弁にたいする、彼のはなやかな性質と雄弁とは、おれを彼にたいして反抗を不可能ならしめて、つねに道化役者の地位においた。世人は彼の雄弁と諧謔とにみせられて、哄笑をするたびに、そのかげにおれという被害者がはぎしりしていることにぜんぜん気がつかなかった。