Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みつのあわれ

蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

室生 犀星

Leggi 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 88.662 caratteri · 174 schermate

Aozora Bunko

「ええ……あら、誰でしょう、誰かが扉の間から此方を覗いて見ているわ。女給さん、誰方か、いらっしっているらしいわよ。」

「あの人、蝋けつ染の物を売っている方なんです。おいりようだったら、そう言いましょうか、何時もは中に這入っていらっしゃるんだけれど、今日はどうしたんでしょう、お這入りにならないわ、……」

「あら、ちょっと俟ってておじさま、きょう会場にいらっしった方だわ、違いないわ、横顔がおばさまそっくりだもの。おばさま、おばさまじゃないの、あら、扉から顔を外しちゃった、おじさま、あたい、ちょっと追っかけて行ってみるわ。」

「何言っているんだ。」

「おばさま、田村のおばさま、あたいよ、昼間、お水をあげたあたいよ、ちょっと俟ってて、其処の小路は行き停まりなのよ、おじさまもご一緒で、先刻からおばさまのお話をしていたところなのよ、ねえ、引き返して頂戴。」

「きみ、人ちがいだよ、蝋けつ染なんておかしいじゃないか。」

「おじさま、表に出ていらっしゃい、ほら、此方をお向きになった、おばさまだ、あの方よ、あの方なのよ、行き停まりなものだから、まごまごしていらっしゃる。ね、おじさま、塀の処を見るのよ、真正面で少しの惑いもなく立っていらっしゃるじゃないの、見てよ、見てよ。