Classici giapponesi con furigana
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みかん
蜜柑
山本 周五郎
Leggi 蜜柑 (みかん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.307 caratteri · 25 schermate
「申せずばよい、だが源四郎」頼宣はたしかめるような調子で、
「そのほうの主人は誰だ」
「……はっ」
「誰がどのように申そうとも、そのほうに奉公のまごころがあり、また主人がそのほうを役にたつべき男とみているからは、いささかも世に恥ずるところはないはずだ。それとも、……余の言葉よりその評判をする者のほうがそちには重いか」
源四郎は言句につまった。
「一徹者め」
頼宣は笑いながら云った。
「そのように眼先のことでとりのぼせるから、人にとかくの評判をされるのだ。一徹もよいが程にせぬといかん、よいからもうさがれ」
源四郎の胸は感動でふるえた。
――御主君はじぶんを知っていて下さる。
直次の言葉がどんなに堪えがたいものであったにしろ、頼宣の一言は源四郎を心の底からたちなおらせて呉れた。
――そうだ、誰がなんといおうと、じぶんの御奉公がひとすじであるかぎり恥ずるところはない、しかも御主君はじゅうぶんにじぶんを認めていて下さるのだ、じぶんはこの君のために死ねばよいのだ。
そう心がきまると、直次の頑迷な眼をみかえすことが出来たようにさえ思えて、源四郎の心はあたらしい力と勇気とでいっぱいになった。