Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちょうのえ

蝶の絵

久生 十蘭

Leggi 蝶の絵 (ちょうのえ) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.644 caratteri · 49 schermate

Aozora Bunko

、第3水準1-90-92)園という朽木の額をあげていた。シヲンヱンではない。「シヲンの園」と聖書風に読まなくてはいけないので、山川の庭では、花そのものにまで信仰の結晶が見られるわけだったが、夏の朝など、あじさいや庚申薔薇が風にそよいでいたあたりには、花らしいものの影もなく、荒々しい青葉が、ぼうぼうと乱れをみせて猛っていた。

「ひどく荒したもんだね」

「まだ、ごぞんじなかったのね。兄が、花のある庭は下品だといって、みな抜かせてしまったの」

花庭をきらうひとはあるが、花のある庭が下品だなどということはない。どこか調子をはずした庭の荒れかたを見ていると、山川の頭の乱れがわかるようで、不気味になった。

「礼拝はまだすまないの、おつとめは」

「兄はね、お風呂場の水道の蛇口の下へ、大きな洗面器をすえて、シャボンの泡をたてて、スポンジで、一日にいくども手を洗うんです……おつとめというのは、そのことなの……帰った当座は、お風呂場を水だらけにして、一日じゅう、洗濯をしていましたわ。汚れてもいないハンカチまでひっぱりだして、生地がぬけるほど洗いあげたり……そのほうはおさまったようですけど、手を洗うほうは、まだまだ……」