Classici giapponesi con furigana
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ちょうのえ
蝶の絵
久生 十蘭
Leggi 蝶の絵 (ちょうのえ) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.644 caratteri · 49 schermate
かわらぬ愛さえあれば、思い出などは踏みこえて行けると、単純に思いこんでいましたが、まちがいだったようです……熱がさめて、冷静になったとき、結婚したことを後悔したり、責めあったりするのだったら……消すに消せない思い出を間に挾んで、いつも、それを通して、お互いの顔を見あわさなければならないようになるなら……」
「山川がそういってきたんだね」
「それに、あたしはスマトラの戦犯裁判で、証人に立って、日本人の罪を証明したことがあります。それを忘れていました……どんなことがあっても、山川さんと結婚できない関係になっているんです。悲しいけど、あきらめるほかはありません」
「リーナ君、君が告発したのは津村だったんだね、『蝶』といわれていたやつ……」
リーナは眼を伏せたきり、それには答えなかった。
言おうとすることはよくわかる。言葉のもつ真実味にうたれ、敬意と同情を感じながら聞いていたが、リーナという娘は恋に眼が眩み、山川のべつな姿をつくりあげているらしい。われわれの知っている山川とは似もつかぬもので、張合いぬけがして、力が入らなくなった。
「とりとめのないことになったね」