Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はえおとこ

蠅男

海野 十三

Leggi 蠅男 (はえおとこ) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 118.129 caratteri · 237 schermate

Aozora Bunko

彼は気がついて筒型の火鉢のそばへ駈けよった。

「あッ熱ッ」火鉢のふちは何うしたわけか焼けつくように熱かった。帆村はそれに手を懸けたため、思わない熱さに悲鳴をあげた。

火鉢のなかには、赭茶けた灰の一塊があった。これは何だろう。その灰の下を掘ってみたが、そこには火種一つなかった。悪臭が帆村の鼻をついた。

「ああそうか。あのフィルムをこの火鉢の中で焼いたんだ。『人造犬』のフィルムを買って来て、この火鉢のなかで焼いたというわけか」

帆村は悪臭にたえられなくなって、窓に近づいてそこを開いた。冷い風がスーッと入ってきた。なぜフィルムを焼いたりしたんだろうか。そのとき彼は何気なく外を見た。そこはこの控家の裏口だった。垣根の向うに、どこから持ってきたのか一台の自動車がジッと停っていた。運転台も見えるが、人の姿はなかった。

「糸子さんは一体どこへ行ったのだろうか。たしかこの二階に上っていたんだが」

帆村は滅入ろうとする自分の心になおも鞭うって、廊下に出た。どこか秘密室でもあって、そのなかに隠されているのではなかろうかと思って探したけれど、この二階に関する限りでは別に秘密室も見当らないようであった。