Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちぬられたかいとう

血ぬられた懐刀

国枝 史郎

Leggi 血ぬられた懐刀 (ちぬられたかいとう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.586 caratteri · 71 schermate

Aozora Bunko

と、その時人の影が、忍びやかに秋安へ近づいて来た。

たしなみの懐刀を握りしめたところの、廻国風の娘であった。

「秋安様」と寄り添うようにした。

「ああここに切られた人が!」

「聚楽の奴原にござりますよ」

秋安は死骸を指さしたが、

「貴方を手籠めにいたそうとした、彼らの一人でござりますよ」

お紅には言葉が出なかった。俯向いて死骸を見下ろしている。

「都にあってもこの有様でござる。一度地方へ出られようものなら、もっと恐ろしい数々のことが、降りかかって来ることでござりましょう。お紅どのここへお止まりなされ。我々がご保護いたしましょう」

無意識に秋安は手を延ばした。

これもほとんど無意識のように、お紅も片手を上げた。

で、死骸を前にして、二人の手と手とが握られた。

白い木蓮が背景となって、手を取り合った男女の姿が、月下に幸福そうに立っている。

しかしこういう二人の恋が、無事に流れて行こうとは、想像されないことであった。

執念深くて淫蕩で、傍若無人で権勢を持った、聚楽の若い侍に、お紅は狙われているのである。

奪い取られると見做さなければならない。

どのように北畠一家の者が、そのお紅を保護した所で、守り切れないことともなろう。