Classici giapponesi con furigana
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ちぬられたかいとう
血ぬられた懐刀
国枝 史郎
Leggi 血ぬられた懐刀 (ちぬられたかいとう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.586 caratteri · 71 schermate
行く手の森陰からけたたましい、若い女の悲鳴が聞こえて、つづいて四五人の男の声が、これもけたたましく聞こえたからである。
で、秋安は走って行った。
廻国風の美しい娘を、五人の若い侍が、今や手籠めにしようとしている。
助けた女は?
それと見てとって秋安が、勃然と怒りを発したのは、まさに当然ということが出来よう。
「方々!」と声をかけながら、武士の間へ割って行ったが、
「お見受けすればいずれも武士、しかも立派なご身分らしい。しかるに何ぞや若い娘を捉えて、乱暴狼藉をなされるとは! 体面にお恥じなさるがよろしい!」
叱咤の声をひびかせた。
凜々しい態度と鋭い声に、気を呑まれたらしい五人の武士は、捉えていた娘を手放すと、一斉に背後へ飛び退いたが、見れば相手は一人であった。それに年なども若いらしい。で、顔を見合わせたが、中の一人が進み出た。
「これ貴様は何者か! 我々の姿が眼に付かぬか! 銀の元結、金繍の羽織、聚楽風だぞ、聚楽風だぞ!」
云われて秋安は眼を止めて見た。
いかにもそれは聚楽風であった。
すなわち関白秀次に仕える、聚楽第の若い武士の、一風変わった派手やかな、豪奢を極めた風俗であった。