Classici giapponesi con furigana
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ちのもじ
血の文字
黒岩 涙香
Leggi 血の文字 (ちのもじ) di 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.021 caratteri · 87 schermate
嗅煙草の箱を取出し幾度か鼻に当て我を忘れて其香気を愛る如くに見せ掛る、去れど余は兼てより彼れに此癖あるを知れり、彼れ其実は全く嗅煙草を嫌えるも唯だ空の箱を携え居り、喜びにも悲みにも其心の動く度我顔色を悟られまじとて煙草を嚊ぐに紛らせるなり、兎角するうちに馬車は早やクリチーの坂を登り其外なる大通を横に切りてレクルース街に入り約束の番地より少し手前にて停りたり、停るも道理や三十九番館の前には凡そ二三百の人集り巡査の制止をも聞かずして推合える程なれば馬車は一歩だも進み得ぬなり、余は何事なるや知らざれど茲にて目科と共に馬車を降り群集を推分て館の戸口に進まんとするに巡査の一人強く余等を遮りて引退かしめんとす、目科は威長高に巡査に向い「貴官は拙者を知ませんか、拙者は目科です、是なる若者は拙者と一処に来たのです」目科の名を聞き巡査の剣幕は打って代り「いや貴方でしたか、爾とは思いも寄りませず」と遽しく言訳するを聞捨て閾を一足館内に歩み入れば驚きて茲に集える此家の店子の中に立ち、口に泡を吹かぬばかりに手真似しながら迫込て話しせる一老女あり定めし此家の店番なる