Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

Leggi 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 88.970 caratteri · 176 schermate

Aozora Bunko

「いいえいいえ、そんなことがありますものか! ……でも、もしや、そんなことにでもなったら……死にまする! 妾は死にまする!」

「こう云っているうちにも、阿婆擦れた女などが、そなたの恋人――いずれ、しおらしい、初心の栞殿の恋人ゆえ、同じ初心のしおらしい殿ごでござろうが、その殿ごへ、まとい付いて……」

栞の顔色は次第に変り、眼が、地面の一所へ据えられた。

その様子を見ると左門は、本来なれば、性来の悪魔性が――嗜虐性が、ムクムクと胸へ込み上げて来、この純情の処女の心を、嫉妬と猜疑とで、穢してやろうという祈願に駆り立てられるのであったが、今は反対で、

(気の毒な! こんな純情の処女の心を苦しめてはいけない)と思った。そこで快活に笑い、

「いやいや栞殿、心配はご無用になされ、純情の殿ごなりや、どのような性悪る女であろうと、誘惑の手延ばされぬものでござる。……それにしても、栞殿のような娘ごに、そのようにまで想われる男、果報者の代表、うらやましい次第、何んという名のお方でござるかな?」

「はい、そのお方の名は……」

栞が云いかけた時、紙帳の外から、

「やア、ここに紙帳が釣ってあるわ! ……やア、左門めの紙帳じゃ!」