Classici giapponesi con furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Leggi 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 88.970 caratteri · 176 schermate
「何をお云いなのだよ。この人は……」
そのくせ、心では、(一筋縄ではいけそうもない。……それにこんな破落戸武士、殺したところで。……そうだ、いっそ息の根止めて……)と、思っているのであった。
典膳がよろめいて、お浦の肩へぶつかった時、お浦は、何気なさそうに、典膳の懐中へ手をやった。
「これ!」
「胴巻かえ?」
「うん」
「重たそうだねえ」
「百二十五両!」
「ああ、昼間の金だね」
「うん。……五郎蔵め、よく出しおった。旧悪ある身の引け目、態ア見ろだ。……お浦、いうことを諾いたら、金をくれるぞ。十両でも二十両でも」
「金なら、妾だって持っているよ」
「端た金だろう」
「鋼鉄さ、斬れる金さ」
お浦は、片手を懐中へ入れ、呑んでいた匕首を抜くと、「そーれ、斬れる金を!」と、典膳の脇腹へ突っ込んだ。
「ヒエーッ、お浦アーッ、さては汝!」
「汝も蜂の頭もありゃアしないよ」
胴巻をグルグルと手繰り出し、背を抱いていた手を放すと、典膳は、弓のようにのけ反ったまま、川の中へ落ちて行った。
(止どめを刺さなかったがよかったかしら?)
お浦は、岸から覗き込んだ。急の水は、典膳を呑んで、下流へ運んで行ったと見え、その姿は見えなかった。