Classici giapponesi con furigana
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こうじん
行人
Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate
とにかく会見は満足のうちに済んだ。兄は暑いので脳に応えるとか云って、早く大阪を立ち退く事を主張した。自分は固より賛成であった。
六
実際その頃の大阪は暑かった。ことに我々の泊っている宿屋は暑かった。庭が狭いのと塀が高いので、日の射し込む余地もなかったが、その代り風の通る隙間にも乏しかった。ある時は湿っぽい茶座敷の中で、四方から焚火に焙られているような苦しさがあった。自分は夜通し扇風器をかけてぶうぶう鳴らしたため、馬鹿な真似をして風邪でもひいたらどうすると云って母から叱られた事さえあった。
大阪を立とうという兄の意見に賛成した自分は、有馬なら涼しくって兄の頭によかろうと思った。自分はこの有名な温泉をまだ知らなかった。車夫が梶棒へ綱を付けて、その綱の先をまた犬に付けて坂路を上るのだそうだが、暑いので犬がともすると渓河の清水を飲もうとするのを、車夫が怒って竹の棒でむやみに打擲くから、犬がひんひん苦しがりながら俥を引くんだという話を、かつて聞いたまましゃべった。
「厭だねそんな俥に乗るのは、可哀想で」と母が眉をひそめた。
「なぜまた水を飲ませないんだろう。