Classici giapponesi con furigana
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こうじん
行人
Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate
「岡田君はいつもこうやって晩酌をやるんですか」と自分はお兼さんに聞いた。お兼さんは微笑しながら、「どうも後引上戸で困ります」と答えてわざと夫の方を見やった。夫は、「なに後が引けるほど飲ませやしないやね」と云って、傍にある団扇を取って、急に胸のあたりをはたはたいわせた。自分はまた急にこっちで会うべきはずの友達の事に思い及んだ。
「奥さん、三沢という男から僕に宛てて、郵便か電報か何か来ませんでしたか。今散歩に出た後で」
「来やしないよ。大丈夫だよ、君。僕の妻はそう云う事はちゃんと心得てるんだから。ねえお兼。――好いじゃありませんか、三沢の一人や二人来たって来なくたって。二郎さん、そんなに僕の宅が気に入らないんですか。第一あなたはあの一件からして片づけてしまわなくっちゃならない義務があるでしょう」
岡田はこう云って、自分の洋盃へ麦酒をゴボゴボと注いだ。もうよほど酔っていた。
五
その晩はとうとう岡田の家へ泊った。六畳の二階で一人寝かされた自分は、蚊帳の中の暑苦しさに堪えかねて、なるべく夫婦に知れないように、そっと雨戸を開け放った。窓際を枕に寝ていたので、空は蚊帳越にも見えた。