Classici giapponesi con furigana
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こうじん
行人
Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate
「御酒を召上らない方は一生のお得ですね」
自分の杯に親しまないのを知ったお兼さんは、ある時こういう述懐を、さも羨ましそうに洩らした事さえある。それでも岡田が顔を赤くして、「二郎さん久しぶりに相撲でも取りましょうか」と野蛮な声を出すと、お兼さんは眉をひそめながら、嬉しそうな眼つきをするのが常であったから、お兼さんは旦那の酔うのが嫌いなのではなくって、酒に費用のかかるのが嫌いなのだろうと、自分は推察していた。
自分はせっかくの好意だけれども宝塚行を断った。そうして腹の中で、あしたの朝岡田の留守に、ちょっと電車に乗って一人で行って様子を見て来ようと取りきめた。岡田は「そうですか。文楽だと好いんだけれどもあいにく暑いんで休んでいるもんだから」と気の毒そうに云った。
翌朝自分は岡田といっしょに家を出た。彼は電車の上で突然自分の忘れかけていたお貞さんの結婚問題を持ち出した。
「僕はあなたの親類だと思ってやしません。あなたのお父さんやお母さんに書生として育てられた食客と心得ているんです。僕の今の地位だって、あのお兼だって、みんなあなたの御両親のお蔭でできたんです。