Classici giapponesi con furigana
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こうじん
行人
Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate
その時自分は「岡田君この呉春は偽物だよ。それだからあの親父が君にくれたんだ」と云って調戯半分岡田を怒らした事を覚えていた。
二人は懸物を見て、当時を思い出しながら子供らしく笑った。岡田はいつまでも窓に腰をかけて話を続ける風に見えた。自分も襯衣に洋袴だけになってそこに寝転びながら相手になった。そうして彼から天下茶屋の形勢だの、将来の発展だの、電車の便利だのを聞かされた。自分は自分にそれほど興味のない問題を、ただ素直にはいはいと聴いていたが、電車の通じる所へわざわざ俥へ乗って来た事だけは、馬鹿らしいと思った。二人はまた二階を下りた。
やがて細君が帰って来た。細君はお兼さんと云って、器量はそれほどでもないが、色の白い、皮膚の滑らかな、遠見の大変好い女であった。父が勤めていたある官省の属官の娘で、その頃は時々勝手口から頼まれものの仕立物などを持って出入をしていた。岡田はまたその時分自分の家の食客をして、勝手口に近い書生部屋で、勉強もし昼寝もし、時には焼芋なども食った。彼らはかようにして互に顔を知り合ったのである。が、顔を知り合ってから、結婚が成立するまでに、どんな径路を通って来たか自分はよく知らない。