Classici giapponesi con furigana
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こうじん
行人
Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate
ある時は病人の便器を差し込んだなり、引き出すのを忘れてそのまま寝込んでしまった怠慢さえあったと告げた。
実際この美しい看護婦が器量の優れている割合に義務を重んじなかった事は自分達の眼にもよく映った。
「ありゃ取り換えてやらなくっちゃ、あの女が可哀そうだね」と三沢は時々苦い顔をした。それでもその看護婦が入口の柱にもたれて、うとうとしていると、彼はわが室の中からその横顔をじっと見つめている事があった。
「あの女」の病勢もこっちの看護婦の口からよく洩れた。――牛乳でも肉汁でも、どんな軽い液体でも狂った胃がけっして受けつけない。肝心の薬さえ厭がって飲まない。強いて飲ませると、すぐ戻してしまう。
「血は吐くかい」
三沢はいつでもこう云って看護婦に反問した。自分はその言葉を聞くたびに不愉快な刺戟を受けた。
「あの女」の見舞客は絶えずあった。けれども外の室のように賑かな話し声はまるで聞こえなかった。自分は三沢の室に寝ころんで、「あの女」の室を出たり入ったりする島田や銀杏返しの影をいくつとなく見た。中には眼の覚めるように派出な模様の着物を着ているものもあったが、大抵は素人に近い地味な服装で、こっそり来てこっそり出て行くのが多かった。