Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

Leggi 街はふるさと (まちはふるさと) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 193.435 caratteri · 389 schermate

Aozora Bunko

しかし、今までのことを思うと、思い当ることもあった。

記代子は放二のアパートを見たがっていたが、放二はいつも言を左右にして、近寄らせないようにしていた。見せて悪い秘密でもないが、見せない方が無難に相違ない。軽いイワレがあってのことだ。

いつか二人そろって鎌倉の作家のところへ原稿をもらいに行って、御馳走になったことがある。のめない酒をすすめられて、二人はかなり酔った。わりと早くイトマを告げたのだが、鎌倉のことで、新宿へついた時には、記代子の市電がなくなっていた。

「放二さんに泊めていただくわ」

記代子は安心しきっていた。

「ええ」

放二はさからわなかったが、中央線には乗らなかった。記代子を散歩にさそって、夜の明けるまで、神宮外苑をグルグル歩きまわっていたのである。始電がうごきだして、新宿駅で別れたとき、疲れきって、物を言う力もなかった。

そのときも、記代子は怒った。数日間、放二に話しかけなかった。

深夜から夜の明けるまで外苑を歩かされたのだから、怒るのもムリがないと思っていた。しかし昨夜はそれほどのことではない。けれども、怒っているとすれば、アパートを見せないせいだ。