Classici giapponesi con furigana
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スペインのこい
西班牙の恋
国枝 史郎
Leggi 西班牙の恋 (スペインのこい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.387 caratteri · 49 schermate
しかも失われた恋ではないか。そうは云っても彼女へだけは、消息すべきではなかったか。
「済まないことをしましたね」私は彼女の髪の毛を優しく指で真探ぐった。「私は為様の無い馬鹿なのです」
「いいえいいえ」とカスピナは、機嫌を直して微笑んだ。「馬鹿なのは私よ、ね、そうでしょう?」
私は返辞が出来なかった。何故かと云うにそう云った時、彼女の処女らしい純潔な眼が、私に謎を掛けたから、その眼は私に斯う云っている「馬鹿なのは私よ、ね、そうでしょう? 私は貴郎を愛しています。それだのに貴郎はこの私を、ちっとも愛しては下さらない。だから私は馬鹿でしょう? それとも、貴郎は是からは、私を愛して下すって?」
どうして返辞が出来ようぞ! 私はいまだにマリア姫を死ぬほど愛しているではないか。
「ムリオは家にいるでしょうね?」
「ええええ家にいますとも。家にいなくてどうしましょう。兄もどんなにか待ったでしょう」
彼女の声は復潤んだが、そのままクルリと向きを変えて家の中へ私を案内した。
ムリオの室の前へ来た時に、どうしたのか彼女は意味あり気に私の顔を見守った。
「兄は大変変りました。何故だか私は知りませんけれど……憂鬱になったのでございますよ。