Classici giapponesi con furigana
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スペインのこい
西班牙の恋
国枝 史郎
Leggi 西班牙の恋 (スペインのこい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.387 caratteri · 49 schermate
ました。
すると廊下に足音がして突然姿を現わしたのはダンチョン様でございます。ああ其時のダンチョン様の不思議な物凄い顔と云ったら! 手布より白い其顔色(血の気など何処にもございません)釣上った、赤い、焔のような眼(それは充血しているのです)痙攣のために左の方へグイと曲った其唇。ダンチョン様は幽霊のように室の中へ這入って参りました。兄の死骸の前まで行くと、手を延して顔の蔽いを取り額へ唇を宛てました。それから判事の前へ行って、ポケットから拳銃を取り出すと、机の上へ抛り出し、すぐに静に云い出しました。
「私が犯人でございます。この手をお縛り下さいまし」両手を前へ突き出しました。
俄に室はざわめき出しました。判事はそれを制し乍ら、
「失礼ですがお名前は?」
「インセント、ドン、ダンチョンです」
「ははあ貴郎がダンチョン氏で?」
それから忽ち兄の室は仮予審場に変わりました。
「自分で犯人だと仰有るからには、それだけの理由がございましょう。それはどういう理由ですか?」
「理由は至極簡単です。ムリオに怨みがありましたので、昨晩庭先まで忍んで参り、拳銃一発で放ち倒しました」