Classici giapponesi con furigana
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スペインのこい
西班牙の恋
国枝 史郎
Leggi 西班牙の恋 (スペインのこい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.387 caratteri · 49 schermate
馬乳で産湯を使った身だ(彼等の諺)」
こんな具合で訳も無く彼等の仲間に這入りました。
彼等は獣皮の天幕を張り、それで夕陽を遮り乍ら、その日の仕事の分前を――諸方で盗んで来た品物を男達は互に分け始めました。それに一方女達は、林の奥の泉の側で、焚火をドンドン焚き乍ら夕飯の仕度を始めている。
間も無く夜になりました。
彼等の中に混り乍ら、私は夕飯をたべました。それから外へ出て見ました。あちこちに天幕が張ってある。一天幕が一家族で、凡、十二三の天幕が張ってあるのでございます。天幕の中からは人声に混って山羊の声が時々聞えて来る。山羊は彼等の財産なので。
私は天幕を一つ一つ端から覗いて行きました。
と、或天幕の前まで来ると、中から微妙な銀笛の音が、聞えて来るのに気がつきました。
私はショックを感じ乍ら、その天幕の前に立って、いつ迄も動こうとはしませんでした。やがて私は決心して、このように言葉を掛けました。
「ゴッサン、少し用がある。一寸天幕から出ておいで」
「誰?」と美しい娘の声。
「私はマドリッドから来た者だが……お前、ムリオを知ってるかい?」
「…………」
忽、天幕の裾の方が、浪うつ様に飜めくや否や、一人の娘が猫のようにヒラリと飛び出して参りました。