Classici giapponesi con furigana
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みえざるてき
見えざる敵
海野 十三
Leggi 見えざる敵 (みえざるてき) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7777 caratteri · 16 schermate
そのうち彼は往来を檻の中の猿のようにジロジロ眺めながら用を足すまでになった。
通行人の新聞面を見ていると、いよいよ彼ウルランド氏の生命は絶望となったと出ていた。彼はもうすっかり弱りきって、腹を立てる元気もなかった。
十一日目に、はじめて彼のうしろの壁から人の声が聞えてきた。
「悪漢ウルスキーよ。その硝子函の居心地はどうじゃネ」
「あッ、――」とウルランド氏は顔色をかえた。それは正に、例の楊博士の皺枯れ声に相違なかったのである。
「はッはッはッ。今ぞ知ったか。消身法の偉力を」
「なにッ」
「汝の手に触れる板硝子と、往来から見える板硝子との間には、五十センチの間隙がある。その間隙に、儂の発明になる電気廻折鏡をつかった消身装置が廻っているのだ。汝の方から見れば外が見えるが、外から見ると何も見えないのだ。どうだ分ったか」
ウルランド氏は蒼白になって戦慄した。
「おいひどいことをするな。早くここから出してくれ。貴様の云うことは何でも聞くからここからすぐ出してくれ」
楊博士は薄笑いをして、
「まあ当分そこに逗留するがいい。だが町もいい加減見飽きたろうから、消してやろう」
そういった声の下に、今まで見えていた往来が、まるで日暮れのように暗くなり、やがて真暗なあやめも分らぬ闇と変りはてた。