Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きく

親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選

山川 方夫

Leggi 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 67.486 caratteri · 144 schermate

Aozora Bunko

安定したゆたかな家庭の母親だけがもつ、あのどっしりとした愛想のいい、しかしどこか冷たく無関心な、親しげな微笑を頬にひろげながら。……

「……ぼくは悲しんだ」

と、彼は思いあぐねたような沈黙のあとでいった。

「ふられるほうが、まだましだよ。とうてい結ばれっこない相手を好きになって、しかも、心を打ち明けることさえできないんだ。それをいうことは、彼女の秘密に立ち入ってしまうことになるんだから。……ぼくは、だからアタマに来ちゃうっていうんだ」

「……そのとおりだ。たしかに君にはつらい出来ごとだと思うよ」

私はいい、何本目かの煙草を灰皿でねじり消した。

「でもねえ、いいかい、おれは君の人生相談の相手じゃない、おれは、ただの……」

「……わかったよ。君の、ただの家庭教師にすぎない、っていいたいんでしょう」

彼は、あきらめたみたいな、孤独な老人のような笑みをうかべながら、ぼんやりとまた窓の外をながめた。葉の落ちかけた木の梢に落日が赤くまみれ、その向うに、茜色にかがやく秋の夕方の空があった。

「ああ、また秋か。ぼく、なんだか自分がひどく子供っぽくなっちゃっているような気がするなあ」