Classici giapponesi con furigana
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きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
Leggi 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 67.486 caratteri · 144 schermate
「そんなこと……、ぼくの愛しているのは先生だけだってこと、先生だって知っているはずじゃないの」
青年は甘えるような表情をつくった。が、その声にはあきらかに演技が感じられた。
「そうちょいちょい逢いにくるわけにもいかないし、目立つような真似はできない。ぼくだって苦しいんだ。……先生だけは、わかって下さると思っていた」
「そうね、わかってるわ。よく」
彼女は頬笑みながら、うっとりとしたようにその青年をみつめた。
「ほんとにわかっていてくれるの?」
「ええ。ほんとにわかっているつもりよ」
「じゃ、どうしてさっきの電話みたいなこと、いったりなんかするの?」青年は絨毯にひざまずいて、彼女の手を握った。「ね。いってよ、ただのおどかしなんでしょ? そうなんでしょ?」
「だいぶ、おいそぎのようね」
彼女は笑いながら答えた。
「これから、すぐ飛行機で大阪に……」
「そう、それは結構ね。いやみじゃなく、おめでとうをいわせてもらうわ」
青年は黙った。わざとそわそわと腕時計をみた。だが、彼女はソファに腰を下ろし、ネグリジェの脚を組んで、青年のその落着きのなさ、焦立ちを完全に無視していた。