Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

おやというにじ

親という二字

太宰 治

Leggi 親という二字 (おやというにじ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3004 caratteri · 7 schermate

Aozora Bunko

「竹内トキさん。」

と呼ぶ。

「あい。」

と爺さんは平気で答えて、その窓口へ行く。

「竹内トキさん。四拾円。御本人ですか?」

と局員が尋ねる。

「そうでごいせん。娘です。あい。わしの末娘でごいす。」

「なるべくなら、御本人をよこして下さい。」

と言いながら、局員は爺さんにお金を手渡す。

かれは、お金を受取り、それから、へへん、というように両肩をちょっと上げ、いかにもずるそうに微笑んで私のところへ来て、

「御本人は、あの世へ行ったでごいす。」

私は、それから、実にしばしばその爺さんと郵便局で顔を合せた。かれは私の顔を見ると、へんに笑って、

「旦那。」と呼び、そうして、「書いてくれや。」と言う。

「いくら?」

「四拾円。」

いつも、きまっていた。

そうして、その間に、ちょいちょいかれから話を聞いた。それに依ると、かれは、案にたがわず酒飲みであった。四拾円も、その日のうちにかれの酒代になるらしい。この辺にはまだ、闇の酒があちこちにあるのである。

かれのあととりの息子は、戦地へ行ってまだ帰って来ない。長女は北津軽のこの町の桶屋に嫁いでいる。焼かれる前は、かれは末娘とふたりで青森に住んでいた。