Classici giapponesi con furigana
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おやかたコブセ
親方コブセ
金 史良
Leggi 親方コブセ (おやかたコブセ) di 金 史良 (きむさりゃん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8006 caratteri · 16 schermate
あいつマラソンの賞品をとってみやげに持って来ると云ってたが、まだ来ねえんだよ」
「賞品は何だえ?」
「五等まで純綿のタオルだそうだよ。俺はタオルがねえんでね」
その間中、親方コブセは一人一人の間を這うように廻り、出掛けて行く者を掴まえて煙草をやりながら、何やらくどくどと説き聞かしていた。いよいよ勢揃い乗船ということになって、乗込者だけがぞろぞろと入口からはいり出した。はじめ親方は入口際にぴたっとひっついてにらにら笑いながら見送っていた。それはまるで兎のよう、目は赤く口元はごくごく蠢いている。が、彼は急にたまらなくなったとみえ、守衛が後を向いた瞬間にさっと飛び出して、最後の一群の中へまぎれ込んだ。行く男達も振り返らずしおしおとはいって行き、送る人達も放心の体で立尽していた。てんからお互いが感情というものを持合わせていないかのように。私はいつか郷里の駅で見受けた、満洲移住民達と見送る人々との感激的な別れの場を思い出し、あれと同じ血を引く人々でありながら、ここではどうしてこうも造作ない別れが出来るのだろうと、胸に痛いものを覚えた。
「金がどっさり出来たら、嫁さんは妾が世話するだよう」