Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おやどりことり

親鳥子鳥

佐々木 邦

Leggi 親鳥子鳥 (おやどりことり) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 88.828 caratteri · 181 schermate

Aozora Bunko

当時散髪料が三銭五厘さ」

「余程昔ですね」

「日清戦争前だったよ。物価が廉かったからね。蕎麦がもりかけ八厘、種物で二銭五厘と来ている」

「成程ね」

「その代り金も取れなかった。巡査の月給が八円」

「それは然うと床屋は何うしました?」

「然う然う。三銭五厘を三銭に下げ二銭五厘に下げたが、果しがつかない。その中に敵の方が別嬪を二人下剃りに使った。すると覿面さ。皆行ってしまった。ワイワイってね」

「旦那もですかい?」

「無論さ」

「頼みにならない人だ」

「同情がないんだね。俺だって昔からこんな年寄じゃなかったよ」

と爺さんは椅子から下りたようだった。

散髪屋を出て家へ帰る途中、

「君、世の中は矢っ張り生存競争だね」

と文一君が溜息を吐いた。

「優勝劣敗さ。働きのない奴はお上さんに追い出される」

と僕は例の職業婦人を思い出した。

「真正だ。ビールなんかも随分競争がひどいってお父さんが言っている」

「新聞だって少しも油断が出来ないそうだぜ。その日の成績がその日に分るんだからね」

「誰でも一生懸命なんだから、入学試験ぐらい仕方がないね」

「皆苦労があるのさ。今朝は一寸実世間を覗いたような気がする。