Classici giapponesi con furigana
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ちゅうもんちょう
註文帳
泉 鏡花
Leggi 註文帳 (ちゅうもんちょう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.770 caratteri · 67 schermate
既に遅矣、雪の姿も、紅梅も、狼藉として韓紅。
狂気のごとくお杉が抱き上げた時、お若はまだ呼吸があったが、血の滴る剃刀を握ったまま、
「済みませんね、済みませんね。」と二声いったばかり、これはただ皮を切った位であったけれども暁を待たず。
男は深疵だったけれども気が確で、いま駆つけた者を見ると、
「お前方、助けておくれ、大事な体だ。」
といったので、五助作平、腰を抜いた。
この事実は、翌早朝、金杉の方から裏へ廻って、寮の木戸へつけて、同一枕に死骸を引取って行った馬車と共によく秘密が守られた。
しかし馬車で乗つけたのは、昨夜伊予紋へ、少将の夫人の使をした、橘という女教師と、一名の医学士であった。
その診察に因って救うべからずと決した時、次の室に畏っていた、二上屋藤三郎すなわちお若の養父から捧げられたお若の遺書がある。
橘は取って披見した後に、枕頭に進んで、声を曇らせながら判然と読んで聞かせた。
この意味は、人の想像とちっとも違わぬ。
その時まで残念だ、と呼吸の下でいって、いい続けて、時々歯噛をしていた少年は、耳を澄して、聞き果てると、しばらくうっとりして、早や死の色の宿ったる蒼白な面を和げながら、手真似をすること三度ばかり。