Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ようきょくこくびゃくだん

謡曲黒白談

夢野 久作

Leggi 謡曲黒白談 (ようきょくこくびゃくだん) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4288 caratteri · 9 schermate

Aozora Bunko

そうして最後に、

「妾も最早余程長い事こうやっていて退屈してなあ」

と云った。この時に自分は不図この祖母が謡い好きであった事を思い出して、忽ち胸中に湧き出した野心が半天に漲り渡ると、思い切って独逸流に、

「お祖母様。私は東京に行って謡いを稽古して来ました。御退屈なら伯父が帰るまでに一ツ謡って見ましょうか」

と切り出した。その時の祖母の喜びようと来たら全く地獄で仏に会ったようであったが、自分も亦御同様で全くこの祖母を拝みたい位に思ったのである。

「併し何を謡いましょうか」

と尋ねて見ると、祖母はその濁った眼を天井に放ってしきりに考えている様子であったが、

「ああ、それそれ、死んだ爺さんが謡い御座った、あの、それ……四方にパッと散るかと見えてというあれを」

「富士太鼓ですか」

「それそれ、その富士太鼓――」

果然、富士太鼓は拙者の得意の出し物であった。今は何条猶予すべき、直ぐに偉容を張って謡い了ったが、我れながら会心の出来で、殊に、

「乱れ髪乱れ笠、思いはいつか忘れむと」

のあたり、即座に天関地軸を撲落して、唯一人の美人を天の一方に仰ぐような心地がした。祖母も余程感に堪えた様子で、二ツ切りの手拭を顔に押し当てて涙を拭いながら、