Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たににうたうおんな

谷にうたう女

小川 未明

Leggi 谷にうたう女 (たににうたうおんな) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3202 caratteri · 7 schermate

Aozora Bunko

「長吉や、長吉や、長吉はどこへいったろう?」

彼女は、あらしのうちを、さがしまわりました。

山の上へとつづいている道は、かすかにくさむらの中に消えていました。そして、山の頂は灰色に曇って、雲脚が、速かったのです。

村じゅうが、大騒ぎをして、長吉をさがしたけれど、ついにむだでありました。年寄りたちは、

「前にも一度こういうことがあった。人さらいにつれていかれたか、たぬきにでもばかされたのであろう。」と、囲炉裏に粗朶をたきながら話しました。

それから、後のことです。村の人たちは、髪を乱して、素足でうたって歩くおきぬを見ました。

「ねんねん、ころころ、ねんねしな。

なかんで、いい子だ、ねんねしな。」

子供を失った悲しみから、気の狂ったおきぬは、昼となく、夜となく、こうしてうたいながら、村道を歩いて山の方へとさまよっていました。

村にあられが降り、みぞれが降りました。そして、山に雪がくると、いろいろの小鳥たちが、里を慕って下りるように、村の娘たちもまた都会を慕ったのです。おかよは、こうして彼女が十六のときに奉公に出ました。

旅に立つ前夜のこと、うれしいやら、悲しいやらで、胸がいっぱいになって、戸の外にすさぶあらしの音をきいていると、ちょうどおきぬの前をうたって通る、子守唄が、ちぎれちぎれに耳へ入ったのでした。