Classici giapponesi con furigana
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まけないおとこ
負けない男
佐々木 邦
Leggi 負けない男 (まけないおとこ) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 98.799 caratteri · 202 schermate
しかし頭から『三人殺し』と来ると景気が好いです」
「はあ」
「読んで見る気になりますよ」
「はあ」
「そのくせ一人も殺されちゃいないんです」
「ハッハヽヽ」
「電車の釣革に下っている人間に読ませる新聞です。何とかして注意を惹きつけなければいけません」
「はあ」
「例えばここに万引をした女があるとします。それが唯の婦人では面白くありません、そこで某陸軍少将の姪とします」
「しかし苦情が参りましょう」
「いや。某ですよ。陸軍少将連中は誰の姪だろうかと思う丈けで、尻の持って来ようがありません」
「成程」
「うまく考えたものです。尤もこれは某社のやることで、あすこの万引は大抵某陸軍少将か某大学教授の姪になっています。本社は記事の正確を期しますから、そんな馬鹿な真似はしませんが、精神丈けは学んで置いても宜しい」
「はゝあ」
「嘘を書くのではないですが、一種の新聞用語があります。例えば紙屑屋が紙屑を択っていて、十円紙幣十枚を見つけ出したとします。その際、単に十円紙幣十枚と書いたんじゃ記事が映えません。何うしますか?」
「さあ」
「手の切れるような十円紙幣十枚とします。紙屑の中に紛れ込んでいたんですから、皺くちゃになっていたに相違ありませんが、読者はそこまで穿鑿しません」