Classici giapponesi con furigana
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まけないおとこ
負けない男
佐々木 邦
Leggi 負けない男 (まけないおとこ) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 98.799 caratteri · 202 schermate
と御機嫌取りに努めた。
「いゝえ。負け惜みが強いのよ」
「はゝあ」
「然ういう口の達者な奴ですって」
「御道理です」
「まあ! ひどいわ」
「ハッハヽヽヽ」
「あら!」
と道子さんは階段の足音を聞きつけて、堀尾君の手から取るより早く、写真を引出へ仕舞い込んだ。
「やあ」
と奥田君が上って来た。
「失敬」
と堀尾君は澄ましていた。
「兄さん、堀尾さんはお帰りになるんですって」
「何だい? 来たばかりで」
「いゝえ、お郷里へよ」
「いつ?」
「明後日ですって」
と道子さんは特別に活躍する必要を感じた。兄さんを裏切って気が咎めている。
「堀尾君、イヨ/\定めたのかい?」
「うむ。仕方がない」
と堀尾君は頷いた。
「就職の方は何うする?」
「諦めた」
「永久にかい?」
「君とは違うよ」
「僕だって好いところがあれば出る」
「何あに、君は番人だ。郷里へ帰れば、もう出て来なかろう」
「来るとも。番をするほどなんて有りゃしない。しかし郷里か東京かってんだから、探す範囲が狭い」
「僕は東京丈けだ。成行に委せる。足掻いても駄目と見越がついたから、当分鮎でも釣って頭を休めようと思う」
「それも宜かろう。しかし明後日とは余り颯急じゃないか?」