Classici giapponesi con furigana
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まけないおとこ
負けない男
佐々木 邦
Leggi 負けない男 (まけないおとこ) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 98.799 caratteri · 202 schermate
差当り毎日伝票を書かさせる。成程、これなら小僧にでも出来る仕事だと思ったが、未だ退屈しない。同期卒業で安川という男が入っていた。これも熾んに伝票を書く。
「帝大出は算用数字が本当に書けるようになるまで半年かゝるそうだよ」
と至って神妙だった。
間瀬君の結婚披露式へ出られるようなら結構だと思っていたところ、それが実現された。しかし新郎新婦は後から来て先に立ってしまったから、会って祝意を述べる機会がなかった。
「新郎新婦万歳!」
という声に和したばかりだった。その後一度新家庭へ敬意を表そうと思っても、昼間伝票を書き間違えまいと努力するから夜分草臥れてしまって出掛ける気にならない。日曜は日曜でそれからそれともっと緊急を要する私用に追われる。就職後の第一日曜には恩師岡村先生を訪れた。
「先生、○○紡績へ入りました」
と報告したら、岡村さんは悌四郎君の先例に鑑みて、直ぐに、
「式はいつですか?」
と気を利かしてくれた。
「十月頃でしょう」
「着々として結構ですな」
「ついては家を一軒借りたいんですが、御近所に明いていませんか?」
「さあ、心掛けて置きましょう」
「直ぐでも宜いんです」