Classici giapponesi con furigana
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へんさいじょき
貢太郎見聞録
田中 貢太郎
Leggi 貢太郎見聞録 (へんさいじょき) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.162 caratteri · 59 schermate
それは二三十人ぐらいに見える所もあれば、百人ぐらいに見えるような所もあった。それは死骸を探しに来る遺族に判りやすくするためにこしらえたものであった。遠くの方で死者を弔う読経の声がしていた。
五六人の者が兵士の傍へ往って何か交渉していた。私はすぐ死者を探している者でなければ中へ入れないと思ったので、地方の関係のある新聞社の名を名刺に肩書して兵士の所へ往った。兵士はすぐ私の入ることを承知した。私は右の手で手拭を持ってそれで口と鼻とを掩うて、左斜に広っ場を突き切るつもりで歩いた。私は一つ一つ死人を見ていては気持が悪くなって歩かれないと思ったので、一箇所に眼を留めずにして進んだ。溺死人のように脹れあがった者、腐った魚のように半身がどろどろになった者、黒焦げになった者、そうした死体が二町四方もあろうと思われる所を掩うて見えた。子供の死体もたくさん交っていた。女の死体の半焦げになった傍に小さな一団まりの消炭のような物を置いてある所があった。私はそれは女の負ぶっていた子供の死体であろうと思った。
風は正面から吹いていた。すこしでも手拭の覆いに隙ができると恐ろしい臭気が鼻を刺した。