Classici giapponesi con furigana
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ひんみんくらぶ
貧民倶楽部
泉 鏡花
Leggi 貧民倶楽部 (ひんみんくらぶ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.333 caratteri · 111 schermate
御両方無言にて頷きたまえば、再び矢島に導れ、門を出でて三拝せしが、見送る人眼のあらずなれば、ニヤニヤと笑うて、ペロリと舌。
「占めた、占めた。」と呟きつつ立去る裾をひしと啣えて引留めたる一頭の犬あり。
「屠犬児を引張るなあ、どこの犬だい、ずうずうしい。」首を捻りて、「ほい、じゃむこう。姉御はどうした。」
「ここに居るよ。」
と辻便所より女乞食、膚の色の真白きに、海松のごとき袷を纏えば、泥に塗れし残の雪。破草人の笠を被りてよぼよぼと杖に縋り、呼吸づかい苦しげに――見せ懸けたるのみ、実はしからず。
「おい。」と屠犬児を呼近附け、「呉れたろう。」「貰ったよ。姉御の先見露違わずだ。」と先刻の包を取出だして、「あててみさっし。」
「片手がものだ。……ね、それ、違いなし違いなし。」
屠犬児は天窓を掻きて、「むこうがおめでたいだけにちっとは冥利が悪いようだ。はて、体の良い騙取じゃねえか。」
女乞食は微笑みて、「何のお前、罪にならぬ盗人は白日御免の世の中だによ。どう、五円だけ油を掛けよう。」
在原貞子、深川綾子、両夫人の徳に感化して兇悪なる屠犬児心を飜して良民となれり。噫偉なるかな、其仁禽獣に及ぶ……と無暗にお誉めなさるべく候。