Classici giapponesi con furigana
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ひんみんくらぶ
貧民倶楽部
泉 鏡花
Leggi 貧民倶楽部 (ひんみんくらぶ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.333 caratteri · 111 schermate
」と落散る屑ども拾い込みてまた手拭に頬を包み、
「姉様、用は相済かね。」
「あいよ、折角お稼ぎなさい。」
「御念には及びやせん。はい、さようなら。」と立別れ、飯倉の方へ急ぎつつ、いと殊勝に、「屑はござい。」
婦人は後に佇みて、帯の間より手帳を取出し、鉛筆をもて何やらん瞬もせず書き認め、一遍読返して、その紙を一枚引裂き、音低くしてしかも遠きに達る口笛を吹鳴らせば、声に応じて駈け来る犬あり。婦人はこれを見て、「じゃむこう」蓋しその名ならむ。
裾に絡めば踞いて頸を撫で、かの紙片を畳みて真鍮の頸輪に結び附け、
「京橋――毎晩新聞社――京橋――毎晩新聞社。」と語るがごとく呟くがごとく繰返しつ。
「そら、よし、御苦労だね。」
(じゃむこう)といえる飼犬は、この用をすべく馴らされたれば、猶予う色無く頭を回らし、頷くごとくに尾を掉りて、見返りもせで馳走去りぬ。
三十分を経たらんには、この書信は毎晩社の楼上なる担当記者の掌に落ちんか。
「おい、車夫様。」
婦人は振返りて手招きすれば、待たせたりし一人の車夫、腕車を曳きて近寄りぬ。
「じゃあこれから直ぐ。」「六六館へ?」
打頷けば々として走りぬ。