Classici giapponesi con furigana
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かこうとしょうり
賈后と小吏
田中 貢太郎
Leggi 賈后と小吏 (かこうとしょうり) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4751 caratteri · 10 schermate
「なんでもない、ちょいとしたことなのです、家へいらしてくださいますなら、すぐ解ります」
そんなことで病人が癒せて礼がもらえるなら、この際大いに助かると青年は思った。
「私で能ることなら、往っても良いのですが」
「それはどうも有難うございます、どうかお願いいたします」
「何方ですか」
「すぐですが、車を持っておりますから」
老嫗はちょっと背後の方を振返って指をさした。そこには一疋の馬を縛いだ車が置いてあった。それは黒い装飾のない車であったが、普通ありふれたものではなかった。青年はすぐこんな立派な車を持っている家であるから金があるだろうと思った。
「あの車ですか」
「そうでございます、どうかあれで」
老嫗がもう前に立って車の傍へ往くので青年も随いて往った。
「さあ、どうか」
老嫗の言うままに青年が乗ると、老嫗はその後から続いて乗りながらまず昇降口の扉を締め、それから左右の窓の扉を締めた。と、同時に車が動きだした。青年は車は何方の方へ往くだろうと思って、見たかったがすっかり扉が締っているので見ることが能なかった。
「お窮屈でしょうが、すぐでございますから」
青年と並んで腰をかけている老嫗は、微暗い箱の中に黒い若わかしい眼を見せていた。