Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.416 caratteri · 53 schermate
登は黙っていた。佐八の口ぶりはむぞうさだが、ひやりとするほど実感がこもっていて、登は一種の圧迫を感じたのであった。
「聞いていただきたいのは女房のことです」と佐八は穏やかに話しだした、「名前はおなかといって、私とは三つ違い、知りあってから一年めに夫婦になりました」
のろけのように聞えるかもしれないが、そこを話さないとわかってもらえないから、不愉快だろうが、辛抱してもらいたい。そう断わってから、佐八は語りだした。
彼はもと下谷の金杉に住んでいた。親方の家に住込みで、やはり車の輻を作る職人だったが、早く亡くなった両親は、奥州のどこやらの出だと聞いただけで、彼は十五の年にみなし児になり、親方夫婦を親ともみよりとも頼んで育った。おなかは隣り町の「越徳」という呉服屋の女中で、知りあったときは二十一になっていた。初めて口をきいたのは春の早朝のことで、佐八は新吉原からの帰りだった。――友達とのつきあいで、前の晩おそく京町の妓楼にあがり、友達は居続けときめたが、彼は親方の気を兼ねて、一人だけさきに帰った。外はようやく白みかけた時刻で、大音寺の前まで来ると、雨がぱらついて来、彼は裾を端折って、小走りに道をいそいだ。