Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.416 caratteri · 53 schermate
お雪などにそんなことを云ったのが恥ずかしいばかりでなく、自分のしていることと、いま云った言葉とに矛盾を感じたからである。いまお雪に云ったことは誇張でも片意地でもない、常に考えていることを正直に口に出したまでであるが、その反面、彼はこの養生所での仕事と、新出去定とにつよくひきつけられていた。――嫌っていたその上衣を、すすんで着るようになったのは理由がある。けれども、彼の考えに変化が起こっていなかったら、とうていそんな気持にはならなかったであろう。理由といっても変ったことではなく、単に一人の病人の言葉にすぎないからだ。
伝通院の前をさがった中富坂に「むじな長屋」と呼ばれる一画があり、そこは極端に貧しい人たちが住んでいることで知られていた。登は去定の供で、しばしばそこへ治療にいくうち、輻屋の佐八という病人を受持つようになった。年は四十五六だろう、骨太でがっちりした躯をしているが、明らかに労咳にかかっており、見かけの逞しさとは逆に、激しい衰弱と消耗が認められた。
――どうか本気になって養生するように仰しゃって下さい。
差配の治兵衛は幾たびそう云ったかわからないし、去定もくり返して、きびしく安静を命じた。