Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.416 caratteri · 53 schermate
おなかと同い年だったが、十六七のころから「おれはこのうちの人間になるんだ」と云って、稼いだ物をおなかの家族に貢いでいた。二十歳になったとき、はっきりおなかが欲しいといい、彼女の親達はよろこんで承知した。
――あたしがそれを知ったのは、あなたから話を聞くちょっとまえのことでした。
彼女の気持はまだはっきりしていなかった。その男が嫌いではなかったし、自分たちの家族がして貰ったことに恩義も感じていた。しかし、その男の妻になるということは、まるでひとごとのように実感がもてなかった。そのとき佐八に会ったのである。おなかは佐八に強くひきつけられた。はっきり事実を云って、断わらなければいけないと思いながら、自分で自分がどうにもならず、なかば夢中で、佐八にひきずられていった。
――だってどうしようもなかったのよ。
おなかはそう云いながらまた泣きだし、声を忍んで、ながいこと嗚咽していた。
やがておなかは心をきめた。佐八といっしょになろう、恩義は恩義、あとでどうとでも返す法はあろうから。そう決心して、越徳の主人にも話し、山谷の親たちにも話した。自分でもこわいほど強い気持になり、涙もこぼさずにねばりぬいた。