Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.113 caratteri · 35 schermate
と呟き、そのまま暫く立停っていた。竹造は背負った薬籠をゆりあげながら、うかがうように登を見た。登は眼で、黙っていろという合図をした。
「まだ帰るには早いな」と去定はわれに返ったように云った、「よし、みくみ町へ廻ってやろう」
そして元気よく歩きだした。
まるで躯の中から不機嫌を叩き出そうとでもするように、力のこもった大股で、御成道を横切ると、松下町から武家屋敷のあいだをぬけ、細くて急な坂を登ってみくみ町まで、ぐんぐんと休みなしに歩き続けた。薬籠を背負っている竹造は汗だらけになり、登に向かってそっと苦情を云った。
「あのけちんぼの仇を、こちとらで討たれるようなもんだ、こんなつまらねえ話はありませんぜ」
登は黙って振向いた。竹造はぐしゃぐしゃになった手拭で額を拭き、それを両手で絞ってみせた。手拭はいま水からあげでもしたように、信じ難いほどの量の汗が絞り出された。登は苦笑して、「よせ」と云いかけながら、ふと、すれちがってゆく男のほうを見た。それは娼家街のほうから来たのだが、すれちがうときに変な眼でこちらを見た。一種のするどさを帯びたいやな眼つきだったので、登が振返ると、その男もこちらを振返って見てい、だがすぐに顔をそむけると、小走りに横丁へ曲っていった。