Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かけこみうったえ

走れメロス

太宰 治

Leggi 走れメロス (かけこみうったえ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.745 caratteri · 112 schermate

Aozora Bunko

ここなら、一泊三円を越えることは無かろうと思った。憂鬱堪えがたいばかりの粗末な、小さい宿屋が四軒だけ並んでいる。私は、Fという宿屋を選んだ。四軒の中では、まだしも、少しましなところが、あるように思われたからである。意地の悪そうな、下品な女中に案内されて二階に上り、部屋に通されて見ると、私は、いい年をして、泣きそうな気がした。三年まえに、私が借りていた荻窪の下宿屋の一室を思い出した。その下宿屋は、荻窪でも、最下等の代物であったのである。けれども、この蒲団部屋の隣りの六畳間は、その下宿の部屋よりも、もっと安っぽく、侘しいのである。

「他に部屋が無いのですか」

「ええ。みんな、ふさがって居ります。ここは涼しいですよ」

「そうですか」

私は、馬鹿にされていたようである。服装が悪かったせいかも知れない。

「お泊りは、三円五十銭と四円です。御中食は、また、別にいただきます。どういたしましょうか」

「三円五十銭のほうにして下さい。中食は、たべたい時に、そう言います。十日ばかり、ここで勉強したいと思って来たのですが」

「ちょっと、お待ち下さい」女中は、階下へ行って、しばらくして、また部屋にやって来て、「あの、永い御滞在でしたら、前に、いただいて置く事になって居りますけれど」