Classici giapponesi con furigana
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えつねん
越年
岡本 かの子
Leggi 越年 (えつねん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.003 caratteri · 21 schermate
と注意した。加奈江は出来るだけ気を落ちつけて二人の報告や注意を参考にして進退を考えていたが、思い切って課長室へ入って行った。そこで意外なことを課長から聞かされた。それは堂島が昨夜のうちに速達で退社届を送って寄こしたということであった。卓上にまだあるその届書も見せて呉れた。
「そんな男とは思わなかったがなあ。実に卑劣極まるねえ。社の方もボーナスを貰ってやめたのだしねえ。それに住所目下移転中と書いてあるだろう。何から何までずらかろうという態度だねえ。君も撲られっ放しでは気が済まないだろうから、一つ懲しめのために訴えてやるか。誰かに聞けば直ぐ移転先きは分るだろう」
課長も驚いて膝を乗り出した。そしてもう既に地腫も引いて白磁色に艶々した加奈江の左の頬をじっとみて
「痕は残っておらんけれど」と言った。
加奈江は「一応考えてみましてから」と一旦、整理室へ引退った。待ち受けていた明子と磯子に堂島の社を辞めたことを話すと
「いまいましいねえ、どうしましょう」
磯子は床を蹴って男のように拳で傍の卓の上を叩いた。
「ふーん、計画的だったんだね。何か私たちや社に対して変な恨みでも持っていて、それをあんたに向って晴らしたのかも知れませんねえ」