Classici giapponesi con furigana
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しゅみのいでん
趣味の遺伝
Leggi 趣味の遺伝 (しゅみのいでん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 38.235 caratteri · 77 schermate
当人から聞き得る事実その物が不思議である以上は余の疑惑は落ちつきようがない。昔はこんな現象を因果と称えていた。因果は諦らめる者、泣く子と地頭には勝たれぬ者と相場がきまっていた。なるほど因果と言い放てば因果で済むかも知れない。しかし二十世紀の文明はこの因を極めなければ承知しない。しかもこんな芝居的夢幻的現象の因を極めるのは遺伝によるよりほかにしようはなかろうと思う。本来ならあの女を捕まえて日記中の女と同人か別物かを明にした上で遺伝の研究を初めるのが順当であるが、本人の居所さえたしかならぬただいまでは、この順序を逆にして、彼らの血統から吟味して、下から上へ溯る代りに、昔から今に繰りさげて来るよりほかに道はあるまい。いずれにしても同じ結果に帰着する訳だから構わない。
そんならどうして両人の血統を調べたものだろう。女の方は何者だか分らないから、先ず男の方から調べてかかる。浩さんは東京で生れたから東京っ子である。聞くところによれば浩さんの御父さんも江戸で生れて江戸で死んだそうだ。するとこれも江戸っ子である。御爺さんも御爺さんの御父さんも江戸っ子である。すると浩さんの一家は代々東京で暮らしたようであるがその実町人でもなければ幕臣でもない。