Classici giapponesi con furigana
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しゅみのいでん
趣味の遺伝
Leggi 趣味の遺伝 (しゅみのいでん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 38.235 caratteri · 77 schermate
着衣の件、喫飯の件、談判の件、懸引の件、挨拶の件、雑話の件、すべて件と名のつくものは皆口から出る。しまいには件がなければ口から出るものは無いとまで思う。そこへもって来て、件のないのに意味の分らぬ音声を出すのは尋常ではない。出しても用の足りぬ声を使うのは経済主義から云うても功利主義から云っても割に合わぬにきまっている。その割に合わぬ声を不作法に他人様の御聞に入れて何らの理由もないのに罪もない鼓膜に迷惑を懸けるのはよくせきの事でなければならぬ。咄喊はこのよくせきを煎じ詰めて、煮詰めて、缶詰めにした声である。死ぬか生きるか娑婆か地獄かと云う際どい針線の上に立って身震いをするとき自然と横膈膜の底から湧き上がる至誠の声である。助けてくれと云ううちに誠はあろう、殺すぞと叫ぶうちにも誠はない事もあるまい。しかし意味の通ずるだけそれだけ誠の度は少ない。意味の通ずる言葉を使うだけの余裕分別のあるうちは一心不乱の至境に達したとは申されぬ。咄喊にはこんな人間的な分子は交っておらん。ワーと云うのである。このワーには厭味もなければ思慮もない。理もなければ非もない。詐りもなければ懸引もない。