Classici giapponesi con furigana
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ろじょう
路上
Leggi 路上 (ろじょう) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 43.539 caratteri · 87 schermate
「所がだ。惚れられるまでは、まだ退屈でも我慢がなるが、惚れられたとなったら、もう万事休すだ。征服の興味はなくなってしまう。好奇心もそれ以上は働きようがない。後に残るのはただ、恐るべき退屈中の退屈だけだ。しかも女と云うやつは、ある程度まで関係が進歩すると、必ず男に惚れてしまうんだから始末が悪い。」
俊助は思わず大井の熱心さに釣りこまれた。
「じゃどうすれば好いんだ?」
「だからさ。だからどうすれば好いんだと僕も云っていたんだ。」
大井はこう云いながら、殺気立った眉をひそめて、七八杯目のウイスキイをまずそうにぐいと飲み干した。
三十三
俊助はしばらく口を噤んで、大井の指にある金口がぶるぶる震えるのを眺めていた。と、大井はその金口を灰皿の中へ抛りこんで、いきなり卓子越しに俊助の手をつかまえると、
「おい。」と、切迫した声を出した。
俊助は返事をする代りに、驚いた眼を挙げて、ちょいと大井の顔を見た。
「おい、君はまだ覚えているだろう、僕があの七時の急行の窓で、女の見送り人に手巾を振っていた事があるのを。」
「勿論覚えている。」
「じゃ聞いてくれ。僕はあの女とこの間まで同棲していたんだ。