Classici giapponesi con furigana
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のうそん
農村
宮本 百合子
Leggi 農村 (のうそん) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.223 caratteri · 97 schermate
今年は今年で、お鳥(女房の名)が指さあ、張れもの出来して、岩佐様さあ七十日がな通いましただ。
鎌で切った処さあ悪いものが入ったそうで、切って二針三針縫って膏薬くれたばかりで御隠居様、有りもしねえ銭十両がな取られやした。
少し金があればはれもの出来したり、不幸が続いたりしやして、島の伯父家にも、お鳥が実家さも、不義理がかさみやす。確かに御年貢だけは取れやした。
けんど、岩佐様さあやる銭が無えで去年の麦と蕎麦粉を売りやしたで、もう口あけた米一俵しか有りましねえで……
御隠居様、ほんに相すまねえでやすが一俵だけまけてやって下さりませ。
来年は、どうでもして返しやすかんない、御隠居様。
此事以外菊太の云う事はないのである。
幾度繰り返しても只この中の一つ二つの言葉をかえる許りだけれ共、どんな事が有っても、「七十日」と「十円」を抜かす様な事は決して決して金輪際無いのである。何の抑揚もなく、丁度生暖い葛湯を飲む様に只妙にネバネバする声と言葉で、三度も四度も繰かえされてはどんな辛棒の良いものでもその人が無神経でない限り腹を立てるに違いない。
斯うなると、菊太と祖母は只根くらべである。