Classici giapponesi con furigana
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げいごうせざるひと
迎合せざる人
Leggi 迎合せざる人 (げいごうせざるひと) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2320 caratteri · 5 schermate
然し、そこに、軍国主義者や、軍国時代の読書家に愛好された理由があった。
日本の軍人たちの文学的教養は低俗で、たかだか漢詩を吟ずるぐらいの風懐しか持たない上に、恋愛を人生に有害無用のものと見ているから、尾崎士郎の文学が、その心情をもっぱら自然の風物に発散させ、愛慾の如きは一夢と観じ、人間関係の究極の救いをも自然の風物に托している、そのリリスムとセンチメンタリズムが、彼ら軍人たちには至高の文学に見えたのである。
又、当時の青年男女にとっても、彼らにとって、戦争とは、侵略などとは無関係なことであり、ただ自らの死滅とのみ痛切に結びついているだけのこと、いわばわが殉国の没落詩、死の悲愴を厭でもわがノスタルジヤとせざるを得ぬ悲痛な定めであった。彼らのかかる心情に、尾崎文学の唄うリリスムが最も共感せられたのは当然であった。
軍部に迎合し時局便乗の処世にあせる作家たちが、己れを偽って、空虚な時局小説を書いたことに比べれば、尾崎士郎は戦争中も、自己を偽りはしなかった。偽る必要がなかった。その持ち前の悲愴美へのリリスムを描いて通用したからである。したがって、すべての時局小説が空虚なこしらえ物であるとき、彼の文章のみが真実の詩を語り、その真実の詩によっても、益々当時の最高の文学として評価せられ、愛読せられたのであった。