Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きんせいかいじんでん

近世快人伝

夢野 久作

Leggi 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 79.469 caratteri · 157 schermate

Aozora Bunko

『それなら十五円……』

『ペケペケ。絶対ペケある。二十五円二十五円。アンタは帰れ。モウ話しせん』

私は支那人の足下を見てしまいました。魚市場の伜だすけに物は云わせません。支那人坊主は未練そうに立上りかけました。

『そんなら十七円五十銭……ぬくい中……』

『ウーム……』

と私は腕を組んで考えました。ここいらが支那人の本音かなと思うておりますところへ、横から大惣が蒼白い手を伸べて私の着物の袖を引っぱりました。

『……ヤスイヤスイ……ウルナウルナ……』

『わたし。最早帰ります。十八円……いけませんか』

『ペケ……ペケ……オレノ……キモハ……フトイゾ……ペケペケ……』

『ええ。要らん事云うな。大惣……黙って呻吟きよれ』

『ウンウン。ウンウン。水ヲクレイ』

『ホラ。遣るぞ。末期の水ぞ。唐人さんドウかいな。もう死によるが。早よう話をばきめんとほかの処へ持って行くがナ』

とうとう支那人が負けて二十円で手を打ちまして、ほかの処へ持って行かぬように、五円の手附を置いて帰りました。

『ヤレヤレ。クタビレタ』

『ウンウン……ウンウン……スマンスマン……』

『モウ呻吟かんでもヨカ。御苦労御苦労。